人間失格の詳しいあらすじ&読書感想文のポイント

太宰治「人間失格」とは

「恥の多い生涯を送ってきました。」の一文で有名な、太宰治の「人間失格」。

この作品を発表した1ヶ月後に、太宰が愛人と自殺するというセンセーショナルな事態もあいまって、今もなお人々の記憶に強く残る一作です。

人間失格を読んでみたいとは思いつつ、なかなか時間が取れない人向けに、人間失格の簡単なあらすじと、詳しいあらすじをまとめました。

最後には読書感想文のポイントもあるので、感想文の課題図書として人間失格を選んだ人は、参考にしてみてくださいね。

人間失格の簡単なあらすじ

頭を抱え苦悩する男性のシルエット写真「人間失格」は、大庭葉蔵という1人の青年の破滅的な人生を、彼自身の手による手記で読むという体裁の作品です。

ある人物が偶然、葉蔵の手記と写真を入手し、それを公開したという設定になっています。

 

主人公の葉蔵は裕福な家庭と類まれな美貌に恵まれましたが、他人の感情を理解できないことから、極度に人間を恐れて育ちます。

成長した葉蔵は、その恐怖を紛らわせるために酒を飲み、数々の女性と関係を持ってはヒモ同然の生活を送るようになりますが、根強い人間恐怖が原因となり、その誰とも関係は長続きしませんでした。

 

やがて麻薬にも溺れ、金も底を尽き、絶望した葉蔵は自殺を企てるも死には至らず、脳病院へ収容されます。

病院に隔離された葉蔵は、社会から狂人扱いされた自分は人間失格であり、人間ではないのだと考えました。

その後、病院を出た葉蔵が故郷に戻り、27歳でありながら40歳以上に見えるほどに老けこみ、ただ無為に時間を過ごしていることを告白して手記は終わります。

人間失格の主な登場人物

ここでは、人間失格の主な登場人物について紹介します。

※登場人物名をクリック・タップすると詳しい説明が開きます。

  • 代議士の父を持ち、裕福な家庭で育つ。

    他人が何を苦しいと感じ、何を幸せと感じるかが理解できない。

    自分が異質であることを他人に知られることを何より恐れ、他人が望む自分を道化として演じることで、自分を守っている。

    成長後は、その美貌と母性をくすぐる素振りから数多くの女性を引き寄せ、次々と女性のもとへ転がり込んでは、酒や麻薬に溺れる自堕落な生活を送る。

    自殺未遂後は脳病院に収容され、退院後は故郷で余生を暮らす。

  • 葉蔵の中学校の同級生。

    クラスのお茶目な人気者を演じていた葉蔵の演技を見抜く。

    口止め目的で近づいた葉蔵と友人付き合いするようになり、葉蔵を「女に惚れられる」「偉い絵描きになる」と評した。

  • 葉蔵の父の知人である古物商。

    容貌が魚のヒラメに似ていることから、葉蔵は父に倣ってヒラメと呼んでいた。

    自殺未遂を起こした葉蔵の世話を頼まれ、鎌倉でツネ子と心中しようとした後、葉蔵を自宅に居候させる。

  • 葉蔵が通っていた画塾の生徒で、遊び人。

    葉蔵に「酒と煙草と淫売婦と質屋と左翼思想」を教える。

    これらは葉蔵にとって、人間恐怖を紛らわせる格好の手段となり、徐々に破滅的な生活を送るきっかけとなる。

  • カフェで女給として働く女性。

    夫は刑務所で服役中で、侘びしさをまとっている。

    高等学校の生徒だった葉蔵と鎌倉の海に飛び込み心中、ツネ子は亡くなったが葉蔵は生き残る。

  • 雑誌記者として働きながら、5歳の娘シゲ子を育てているシングルマザー。

    葉蔵と同棲し、漫画家として仕事ができるよう世話もしてやる。

    ある時、シヅ子とシゲ子が2人で会話しているのを盗み見た葉蔵は、自分がこの親子の幸せを邪魔していると考え、そのまま出奔した。

  • 京橋にあるスタンド・バアの女主人。

    シヅ子のアパートを出てきた葉蔵を店の2階に置いてやり、面倒を見る。

  • スタンド・バアの向かいにある煙草屋の娘。

    葉蔵が「信頼の天才」と称したほどの純粋さを持つ、天真爛漫な女性。

    内縁の妻として葉蔵と共に暮らすが、人を疑わない素直さが災いして、家に出入りしていた商人に犯されてしまい、それ以降、葉蔵との仲がギクシャクし始める。

人間失格の詳しいあらすじ

「人間失格」は、プロローグにあたる「はしがき」、葉蔵が残した3冊のノートをそのまま公開したという設定の3つの手記、エピローグにあたる「あとがき」で構成されます。

メインとなるのは、幼年時代、学生時代、青年時代をそれぞれ記した3つの手記。
はしがきとあとがきは、葉蔵の手記を手にすることとなった、とある男性の視点で書かれています。

それでは、各章の詳しい内容を見ていきましょう。

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はしがき

古びたノートと写真の写真たまたま葉蔵の手記を入手することとなった人物が、葉蔵の3枚の写真を見た印象が語られます。

 

1枚目は、人をムカムカさせるような薄気味悪い笑顔を浮かべた子供の写真。

2枚目は、おそろしく美貌で、けれど造り物のような表情をした学生の写真。

3枚目は、何の特徴もなく、年の頃すらわからない白髪まじりの男が、汚い部屋の片隅で、まるで自然に死んでいるかのような佇まいで写っている、不吉な印象の写真。

 

これらの写真は、今から語られる葉蔵の3つの手記の内容を、それぞれ象徴するような写真となっています。

葉蔵がどのような人生を歩んだのかは、この次に始まる「第一の手記」から、葉蔵自身の言葉で語られていきます。

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第一の手記

恐ろしい表情の影と立ち尽くす男性の写真葉蔵は、幼い頃から空腹という感覚や、人が何に対して苦しみや幸せを感じるのかが理解できませんでした。

自分が異質であることを知られないよう、道化になることを決め、お茶目な子供を演じて皆を笑わせていました。

 

そんな葉蔵は、人から好意を持たれても喜ぶことができません。

自分の振る舞いが演技であることがバレたら、さぞみんな怒るだろうと思うからです。

この恐怖のために、葉蔵は自分の本心を主張するということがなく、家で働く女中から下男たちから性的ないたずらを受けた時でさえ、それを黙っていました。

 

葉蔵にとって、互いに本音を欺き隠して付き合いながら、不思議に傷つかない他人の様子は理解しがたいものでした。

例えば、代議士である父の演説を、父のいないところではけなし、父の前では盛大に褒め称える大人の姿。

葉蔵は人間というものを難解に感じ、普通の人間の営みや感情を理解できない自分を孤独だと感じます。

葉蔵はこの孤独を解消できないまま成長し、第二の手記、中学校時代へと続きます。

第二の手記

ウイスキーグラスと煙草の写真葉蔵は中学校でも道化としてムードメーカーを演じ、クラスの人気者になっていました。

しかしある日、クラスでも目立たない竹一という男子に、自分が演技をしていることを見破られます。

焦った葉蔵は彼を懐柔しようと近づき、友人付き合いをするようになりました。

 

友人として付き合うなかで、竹一は葉蔵に女に惚れられるだろう、偉い画家になるだろうという、予言のような2つの発言をします。

このうち女のほうはまさに的中。

後の葉蔵は漫画家として仕事をするようになったため、画家の予言は当たらずとも遠からずの結果になります。

 

中学校を卒業した葉蔵は、高等学校に進学する傍ら、画塾にも通い始めます。

そこで、年上の遊び人、堀木と出会い、酒と煙草と淫売婦と質屋と左翼思想を覚えることに。

非合法なことや社会の日陰者、そうした、まっとうな道から外れたものたちは、葉蔵にとって人間恐怖を紛らわせてくれる心地よい手段でした。

葉蔵は淫売婦のもとに入り浸り、左翼の地下運動に奔走する生活を送るようになっていきました。

 

しかし、ほどなく学校に行っていないことが実家にばれ、小遣いも減り、遊ぶ金に困るようになった葉蔵は死んでしまおうと思い立ちます。

カフェの女給、ツネ子と共に鎌倉の海に飛び込み自殺を決行しましたが、ツネ子だけが亡くなり、葉蔵は命を取りとめました。

葉蔵は自殺幇助罪に問われましたが起訴猶予となり、身元引受人となった父の知人、ヒラメの迎えを待つところで第二の手記は終わります。

第三の手記

thum_788高等学校を退学になり、ヒラメの家の2階に居候していた葉蔵ですが、ヒラメから今後どうやって生活していくつもりかと問い詰められ、答えることができず逃げ出します。

堀木を訪ねるも邪険にされた葉蔵は、シヅ子という女性の家に転がり込みました。

やがて雑誌記者であるシヅ子のはからいで、漫画家として仕事をもらえるようになりましたが、そのお金は酒と煙草に費やし、徐々に酒に溺れていきます。

 

ある時、自分はシズ子たち親子2人の幸せを邪魔する存在だと感じた葉蔵は、アパートを家出。

今度は京橋でスタンド・バアを営むマダムの元へ押しかけます。

バアのマダムや客は葉蔵に優しく、葉蔵を脅かすことはありませんでした。
葉蔵は、世間もそんなに恐ろしいものではないと感じるようになり、バアで客の相手をしながら酒を飲む日々が続きます。

 

そうして1年も経った頃、葉蔵はバアの向かいにある煙草屋の娘、ヨシ子と仲良くなります。

そして、ヨシ子と結婚することを決め、内縁の妻として一緒に暮らし始めました。

 

つかの間、穏やかな日々が続きましたが、ある時、ヨシ子は人を疑うことを知らないがゆえに、商人の男を家にあげ、犯されてしまいます。

葉蔵は、ヨシ子の身が汚されたことよりも、信頼の天才とも言えるヨシ子の純真無垢な心が失われ、自分の一挙一投足にまでビクビクと気を遣うようになってしまったことを深く嘆きました。

そのショックを埋めるように、葉蔵は再び酒に溺れていきます。

 

薬瓶からこぼれ出た大量の錠剤の写真ある夜、いつものように泥酔して帰宅した葉蔵は、おそらくヨシ子が自殺するつもりで買ったのであろう、大量の催眠剤を発見。

その場で催眠剤を飲み干し、三昼夜寝たままになりますが、命を落とすことはなく目を覚まします。

 

催眠剤の一件の後も葉蔵はヨシ子と一緒に暮らしていましたが、やがて麻薬に溺れていき、ヒラメと堀木により病院へ連れて行かれます。

サナトリウム(療養所)とばかり思っていた行き先は、精神に異常をきたした人が行く、脳病院でした。

そこで葉蔵は、自分は狂人であり、人間失格なのだと悟ります。

 

脳病院を退院後、葉蔵は故郷へ戻り、世話係として付けられたテツという醜い老女中とともに、何をするでもなく過ごしました。

「自分はことし、二十七になります。白髪がめっきりふえたので、たいていの人から、四十以上に見られます。」

という一文で、葉蔵の手記は終わります。

あとがき

場面は京橋のスタンド・バア。
マダムと、彼女の旧知の男性が、葉蔵の手記について話しています。

男性は作家であるらしく、マダムは小説の材料になるかもしれないからと、彼に自分のもとに送られてきた手記を渡したのでした。

マダムに手記を託した以降の葉蔵の生死はわかりません。

最後に、マダムは葉蔵の人物についてこう語ります。

「私たちの知っている葉ちゃんは、とても素直で、よく気がきいて、あれでお酒さえ飲まなければ、いいえ、飲んでも、…神様みたいないい子でした」

「人間失格」の読書感想文のポイント

原稿用紙と鉛筆を握った手の写真人間失格は、1人の人間の暗い感情だけが綴られた小説です。

わかりやすい起承転結があるストーリーではないので、感想と言われても、つまらないとも面白いとも言い難いという学生さんもいるのではないでしょうか。

ここでは、「人間失格」の読書感想文のポイントを3つ紹介します。

感想文で何を書いて良いかわからない人は、これらのポイントの1つか、あるいは複数について考え、それを言葉にして書き出してみてください。

葉蔵の人間恐怖

頭を抱えて苦悩する男性の写真人間失格の一貫したテーマとなっているのは、葉蔵の人間恐怖。

 

自分の幸福の観念は、他人のそれとは違う。

だからそれを知られないように、道化になる。

もし道化であることが知られれば、きっと皆は怒るだろう。

しかし好かれたら好かれたで、それは所詮、演じている偽物の自分なので、喜ぶことはできず、むしろ怖い。

 

葉蔵は、この堂々巡りから逃れる術を見つけることができず、女や酒、麻薬に溺れていきました。

 

あなたは、葉蔵の人間恐怖が理解できますか?
また、理解できる理由、理解できない理由はなんでしょうか。

葉蔵は、なぜそんなにも人間が怖かったのか?
いったいどうすれば、その恐怖から解放されたのか。

それらをあなたなりに考えてみましょう。

周囲の人物から見た、葉蔵の人物像

作中で、葉蔵は自分の能力や容姿を誇るような言い方をほとんどしません。

しかし、葉蔵以外の人物のセリフから、葉蔵が家柄だけではなく能力や容姿にも人並み以上に恵まれ、多数の人間と交友関係を結んでいたことが見て取れます。

また、物語の最後、葉蔵は自分を人間失格と断じますが、一方で彼をよく知るマダムは、葉蔵のことを「神様みたいないい子」と評しました。

 

葉蔵の周囲の登場人物たちにとって、葉蔵はどのような人間に映っていたのでしょうか?

そして、他人が見る葉蔵と、葉蔵自身が認識する自分には、どんなギャップがあったのでしょうか。

人間失格は、葉蔵自身の視点から綴られていますが、別の登場人物たちの視点から見た葉蔵という人間について考えてみましょう。

本当の自分と、道化の自分

躍るような複数の人間のシルエット写真葉蔵は、自分は道化であると言っていますが、本心とは違う言動を取ることは、誰しもあることです。

 

例えば、相手によく思われたくて、面談の時にかしこまって礼儀正しくしたり、好きな人の前で格好良く振る舞おうとしたなどの経験は、あなたにもあるでしょう。

 

葉蔵が道化を演じたように、あなたも道化を演じたことはありますか?
そして、それはなぜでしょうか。

葉蔵は、自分を演じることで恐怖から逃れ、その一方で安心を得てもいましたが、あなたはどうですか?
演じるということについて、葉蔵と同じように感じるか、それとも違う感覚を持っているでしょうか。

 

本当の自分と、道化の自分について、あなた自身の経験や思うことを書いてみましょう。

まとめ

「人間失格」は、葉蔵という人物の弱さを赤裸々に書き連ねた物語です。

人間失格を読んだ人は、葉蔵の弱さに共感するか、イライラするか、どちらかに大きく分かれるのではないかと思います。

あるいは、その時の精神状態や年齢によっても、感じ方が変わるかもしれません。

今のあなたは、葉蔵の弱さをどう感じるでしょうか…?

自分の状態によって、作品から受ける印象が鏡のように変わる。
それも、人間失格が名作として読み継がれている理由のひとつなのかもしれませんね。

明るく楽しいお話ではありませんが、あらすじを読んで興味を持った人は、ぜひ原作にもチャレンジしてみてください。

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