解説付きでよくわかる、羅生門のあらすじ

羅生門のあらすじとは

京都の羅生門の写真芥川龍之介の「羅生門」は、荒廃した都を舞台に1人の男と1人の老婆、登場人物はたったの2人だけという短い小説です。

この短い物語の中に、どんなテーマや意味が込められているのか?

「羅生門」のあらすじと、物語の解釈について解説します。

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羅生門の登場人物と背景

  • 下人 … 失業し、明日から生活していくには盗人になるしかないと思うものの、実際にそうする勇気がなく、羅生門で降りしきる雨を見ながら考え込んでいる。
  • 老婆 … かつらを作って売るために、羅生門で捨てられた死人の髪の毛を抜いていたところを、下人に見られる。

羅生門は、芥川龍之介が、今昔物語集に収録された2編のストーリーを独自に解釈して創作した短編小説です。

タイトルの「羅生門」は実在の門ではなく、平安京の「羅城門」をモチーフとしたもの。

天変地異や飢饉により荒廃した、平安時代の都が舞台となっています。

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羅生門の簡単なあらすじ

仕事を首になった下人が、このまま餓死するか盗人になるかと悩み途方に暮れていたところ、死なないためにしかたなくやるのだと、自分の悪事を正当化する老婆を見て、それならば自分も死なないためにこうするのだと、老婆の着物を奪い去って逃げ去る話です。

羅生門の詳しいあらすじ

都にある羅生門の下で、ある下人が雨宿りをしていました。

この2、3年、天変地異が続いた都は荒廃しきっており、死人を捨てる場所と化してしまった羅生門に、男のほかに人の姿はありません。

 

下人は数日前に仕事を首になって行くあてもなく、雨の中、明日の暮らしをどうしようかと考えていました。

生きるために手段を選ばないのなら、盗人になるしかありませんが、その選択をする勇気はなく、雨を眺めながらとりとめもなく考え事をしているのでした。

 

やがて日が落ち、下人は今夜寝る場所を探すため、羅生門の上の楼に登ろうとします。

しかし、はしごを登りかけたところで、誰もいないと思っていた楼の上に、火が動いているのを見つけました。

こんなところにいるのは普通の人間ではないと恐怖した下人は、見つからないように楼の様子を伺います。

すると、そこにいたのは老婆で、楼内に打ち捨てられた死骸の髪の毛を1本ずつ抜いているのでした。

 

その様子を見ているうちに、下人の心からは恐怖がなくなり、老婆の行いに対する憎悪が湧いてきます。

悪を許せないという正義心に駆られた下人は、楼の上へ飛び上がり、老婆へ刃物を突きつけました。

何をしていたのかと問い詰めると、老婆は、抜いた髪をかつらにしようと思ったと答えます。

 

平凡な答えに下人が失望していると、老婆はさらに言い募りました。

ここに捨てられている死人は、みな相応の悪事を働いたものばかりである。

しかし、それは餓死しないために仕方なくやったことなので、自分は悪いことだとは思わない。

自分も餓死したくないので、仕方なく死人の髪を抜くようなことをしているのだ。

 

そうして老婆の言い分を聞いた下人の心に、ある変化が起きます。

老婆の話を聞き終えると、下人は、これも餓死しないために仕方なくやるのだと言って老婆の着物を奪い取り、はしごを駆け下りて逃げ去りました。

しばらく後、蹴倒された老婆が起き上がってはしごの下を覗くも、そこには夜の闇が広がるばかり。

下人の行方は誰にも知れないのでした。

羅生門の物語の解説

羅生門は、善悪の間で揺れ動く下人の心理を描いた物語です。

盗人になる勇気が持てず、悪を憎み、正義の心を持って老婆に襲いかかった下人ですが、老婆の言い分を聞いた後は、老婆の服を奪って逃げるという悪行に及びます。

物語を読み解く鍵は、下人の心の変化と、そのきっかけ。

下人の心がどのように移り変わっていったのかを、原文の表現で追ってみましょう。

盗人になるしか生きる方法はないが、その勇気が出ない

  • 場面:羅生門で雨宿りしながら、明日の生活をどうしようか考えている
  • 下人の心理描写:「盗人ぬすびとになるよりほかに仕方がない」と云う事を、積極的に肯定するだけの、勇気が出ずにいた

物語冒頭、職を失い路頭に迷った下人は、生きていくには盗人になるしかないと思いながら、それをする勇気が出ません。

勇気が出ないのはなぜでしょうか?

捕まるかもしれないという恐怖もあるかもしれませんが、おそらくは、悪いことをしてはいけないという良心ゆえ。

それを示すように、次の場面で下人は、悪を憎む正義感から、老婆に対する行動を起こしています。

老婆の行動を見て、悪を憎む心が燃え上がる

  • 場面:楼の上で死人の髪を抜く老婆を発見し、刃物を突きつけて問いただす
  • 下人の心理描写:この男の悪を憎む心は、老婆の床に挿した松の木片きぎれのように、勢いよく燃え上り出していた

死人の亡骸を荒らすという老婆の行為を見た下人は、「あらゆる悪に対する反感が、一分毎に強さを増して(原文より)」来ます。

刃物を手に老婆に迫った時の下人は「饑死をするか盗人になるかと云う問題を、改めて持出したら、恐らく下人は、何の未練もなく、饑死を選んだ事であろう(原文より)」というくらい、正義の心に燃えていました。

盗人になるか、餓死するかという選択で揺れていた下人ですが、老婆の卑しい行いを見て、とっさに正しい行いに目覚めたわけです。

 

しかし、下人の正義心は長くは続かず…

次の場面で、熱く燃えていた心は冷めてしまいます。

先ほどまでの悪を憎む心が冷めてしまう

  • 場面:老婆に刃物を突きつける
  • 下人の心理描写:明白にこの老婆の生死が、全然、自分の意志に支配されていると云う事を意識した。そうしてこの意識は、今までけわしく燃えていた憎悪の心を、いつの間にか冷ましてしまった

楼に上がった下人は刃物を手に老婆に迫ります。

老婆は抗がったものの勝負にならず、簡単にねじ伏せることができました。

圧倒的優位に立った下人の心に、ある変化が起きます。

燃え上がっていた正義心はすっかり冷め、「後あとに残ったのは、ただ、ある仕事をして、それが円満に成就した時の、安らかな得意と満足とがあるばかり(原文より)」でした。

 

態度を和らげ、老婆に何をしていたのかと問う下人。

老婆から返ってきた返事が、下人の心にさらなる変化をもたらします。

盗人になる

  • 場面:老婆の話を聞く
  • 下人の心理描写:下人の心には、ある勇気が生まれて来た。それは、さっき門の下で、この男には欠けていた勇気である

老婆は、羅生門の上で死人の髪を抜いていた理由を次のように語ります。

 

髪を抜くことは悪いことかもしれないが、ここにいる死人は、それくらいされて当然の悪人ばかりである。

自分が髪を抜いているこの女は、干した蛇を干し魚と偽って売っていた。

しかし、悪人だとて、それをしなければ餓死してしまうのだから、しょうがない。

よって、彼らがしたことも、今自分がしている髪を抜くという行為も、悪いことではない。

自分が髪を抜いたこの女も、きっと理解してくれるだろう。

 

この老婆の言い分を聞いているうちに、下人の心には、ある「勇気」が湧いてきます。

それは、物語冒頭では決心がつかなかった、「盗人になる」という勇気。

悪いことかもしれないが、生きるためにするのだから仕方がない、という老婆の理屈を聞いた下人は、それをそっくりそのまま、自分と老婆にも当てはめたのです。

そして、「では、己おれが引剥ひはぎをしようと恨むまいな。己もそうしなければ、饑死をする体なのだ。(原文より)」と言って、老婆の着物を奪って逃げ去ります。

 

こうして、物語冒頭で盗人になるか迷っていた下人は、途中で正義の心に燃えるも、最後は盗人になってしまいました。

羅生門の物語が伝えていることは?

偽物の商品を売っていた死人の女。

女から髪を抜いて売ろうとした老婆。

老婆から着物を奪った下人。

 

羅生門が、下人の行動を通じて伝えようとしているメッセージは何でしょうか?

少なくとも、老婆や下人が言うように、「生きるためなら悪いことをしても許される」ということではないのは確かです。

作中で彼らが見せた「生きるために罪を犯す」という行為について、その是非を問うているのではないでしょうか。

 

物語の解釈は人それぞれですが、ひとつの解釈として「善悪や正義とは絶対的なものではなく、立場や状況によって姿を変えるものである」ということが言えます。

下人にとって、物語の途中までは、「人のものを奪う」ことは悪であり、「人のものを奪う奴を懲らしめる」ことが善であり正義でした。

しかし、老婆の話によって、「自分が生き延びる」ことが善になり、そのためならば、人のものを奪うことも許される、という考えに変わります。

下人にとっての「人のものを奪う」という行為の意味が、物語の最初と最後では、まったく違ったものになっているのです。

 

正義の反対は悪ではなく、もうひとつの正義である。

絶対的な善悪は存在しない。

そんな中で、何を選択し、どのように生きていくのが正解なのか。

生きるための悪は許されるのか。

羅生門の物語は、下人の行動を通じて、それらを読み手に問うているのではないでしょうか。

 

また、別の視点から見ると、「人の心は移ろいやすく、正当な理由を与えてやれば、悪行すら犯す」という見方もすることができます。

悪びれることなく、生きるために悪事を犯す老婆。

その姿を見て、ならば自分もこうするのが正しいのだと、盗人行為に走る下人。

それは弱さや愚かさなのか、あるいは逞しさなのか。

あなたは、彼らの姿から何を感じたでしょうか…?

 

「羅生門」は、青空文庫で無料公開されており、インターネットで全文読むことができます。

興味を持った人は、一度原文も読んでみてくださいね。

青空文庫の「羅生門」ページへ≫

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