お肉はダメ?お盆の食事の作法とは
知っていますか?お盆の食事の正式なマナー
お盆の時期には、1日3回、精進料理を作って食べるのが正式な作法です。
現在では、しっかり守っている家庭は少ないかもしれませんね。
でも、親戚の家や義実家で恥ずかしい思いをしないよう、正しいマナーを知っておくのは悪いことではありません。
献立やお供えなど、お盆の食事の作法について紹介します。
精進料理って、どんなもの?
お盆の食事は精進料理を作って食べ、仏壇にも同じものをお供えします。
精進料理のルーツは、祭祀の間や1日、15日には肉を食べてはいけないと言う中国の慣習がルーツ。
この時に食べる、動物はもちろん魚や鶏肉も一切使わず、穀物、野菜、豆、海藻などを使って作る料理が精進料理です。
仏教は飛鳥時代に中国から日本に伝来しましたが、精進料理が発展したのはもう少し後。鎌倉時代に伝来した禅宗の影響で発展しました。
精進料理は作るのに時間と手間はかかりますが、食材の持ち味を生かし、味と見た目の美しさの調和を大切にする和食の原点と言われています。
お盆に食べる精進料理のメニューと食材
精進料理と聞くと何か特別な食事のような気がしますが、赤飯、いなり寿司、野菜や山菜の天ぷら、豆腐や油揚げの煮物、ごま和え、酢の物など、日本人であれば普通に食べている料理ばかりです。
肉と魚が食べられないといっても、意外と献立は豊富ですよね。
メインディッシュにもなる野菜の天ぷらは、精進揚げとも呼ばれます。
ただし、精進料理では動物性タンパク質もNGなので、天ぷらのつけ汁に鰹出汁やコンソメなどは使えません。昆布や干し椎茸、かんぴょう、切り干し大根、高野豆腐などで出汁をとります。
また、精進料理の作法として、野菜であっても使ってはいけない食材もあります。
具体的にはニンニク、ニラ、ネギ、玉ねぎ、らっきょうなど。これらの野菜は精がつくので、性欲を刺激して修行の妨げになるという理由からです。
お盆の食事のお供え方法
お盆は、あの世から帰ってきたご先祖さまの精霊をおもてなしする時期。精進料理を作ったら、ご先祖さまにもお供えして食べていただきます。
お供えする食事は、霊具膳または霊供膳と呼ばれる、高さ8cmほどの足の付いたお膳に並べます。
霊供膳にはお椀が5つとお椀の蓋4つがセットされていて、蓋も食器に含めて「九重椀(ここのえわん)」というセットになっています。
精進料理の中でも一番正式な二汁五菜の時は9つの器すべてを使用しますが、通常は一汁三菜で、ご飯と汁物、お漬物のほかに3品おかずを用意します。
ご飯は一番大きな器に山盛りしてください。お椀だけでは器の数が足りませんので、どれかの器の蓋を一枚ひっくり返して器として使用します。
仏教では、お盆中、故人の霊は精霊棚という、お盆のお供え物を並べる祭壇に泊まると考えています。今風に言うと、お盆滞在中のホテルのようなものですね。
お盆の期間、ご先祖さまは精霊棚で過ごすので、準備した食事は精霊棚にお供えしましょう。この時、お箸は位牌のある側に添えてください。
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お盆の食事会、お斎の作法
故人が亡くなって最初に迎えるお盆である新盆などは、お坊さんを読んでお経をあげてもらい、その後一緒に食事をすることがあります。
この食事会のことをお斎(とき)といいます。
お斎はお経をあげてくださったお坊さんや集まってくださった人たちへのお礼の会ですので、遺族は下座に座るのが作法です。
お坊さんには、上座となる仏壇に一番近い席に座ってもらいます。遺族は下座に着きますが、施主だけは上座に座り、お坊さんの隣で接待します。
お盆の食事を料亭で行ったり、仕出し弁当を頼む場合は法事で使うことをはっきり伝えましょう。
宴会料理ではなく精進料理ですので、お斎ではお刺身や魚の出汁を使った料理はNGです。
当日になってから慌てたり、来てくださったお坊さんたちへの失礼にならないよう、お斎の作法や料理の献立は、早めに確認しておいてくださいね。