おみくじの凶の本当の意味と対処法。凶=悪い結果とは限らない!
おみくじの「凶」の意味と対処法
運試しのつもりで引いたおみくじ、「凶」が出ると落ち込みますよね。
でも、おみくじの凶は、必ずしも運気が悪い、悪いことが起こるという意味ではありません。
たとえ凶や大凶が出ても、正しく対処すれば、時には大吉以上に価値のある結果に転じることも。
もし凶を引いてしまったら、どうすればいいのか?
おみくじの凶の正しい意味と対処法について解説します。
目次
おみくじの結果の意味
おみくじというと、吉や凶などの結果だけに目が行ってしまいがちですが、おみくじとは本来、神さまの意見を伺うためのもの。
古来日本では、後継者など政治上の重要事項を決定する時、神意を尋ねるためにくじ引きをする習慣がありました。
重要な選択を迫られた時、どうするのがベストなのかを、神さまに聞いて決めていたんですね。
その実例として、室町幕府の六代目将軍足利義教が、清水八幡宮のくじ引きにより将軍になったという話は有名です。
つまり、おみくじの結果というのは、相談事に対する神さまからのアドバイス。
今日は運が悪い、運が良いという運試しではなく、より良い未来を迎えるためのアドバイスを、神さまからいただくためのものなのです。
凶が出ても、それは「これから悪いことが起こる」という意味ではなく、「このまま行くと悪い結果になりそうだが、こうした点に注意すれば避けることができる」という意味。
失敗しないように、あらかじめ備えるべきことを教えてくれる、アラート的なものだと考えればいいでしょう。
悪いことが起こったりミスをしないように、神さまがあらかじめ注意点を教えてくれる…
テストで言えば、引っかかりそうな問題を事前に教えてもらっているようなものですよね。
そう思えば、凶も悪くない気がしてきませんか?
それに、数少ない凶を引き当てるなんて、むしろ運が良いという捉え方もあります。
しかし実際のところ、凶を引く確率は低いのか、高いのか…?
おみくじに凶が入っている割合について見てみましょう。
おみくじで凶が出る確率は?
現在のおみくじの原型となったのは、平安時代に天台宗の僧、良源(りょうげん)が考案し、江戸時代に天海(てんかい)によって改良された、「元三大師御籤(がんざんだいしみくじ)」。
おみくじの元祖とも言えるこの元三大師御籤では、凶は100本中30本と決められていました。
さらに詳しい内訳を記したのが次のグラフです。
現在普及しているおみくじは、神社やお寺がそれぞれ独自に吉と凶の割合を決めています。
元三大師の元祖おみくじでは凶の割合は30%ですが、今では、もっと少なめに設定している寺社がほとんど。
凶を引いてしまった人がショックを受けないようにと、極力、凶の数を少なくしたり、まったく凶を入れてない寺社も少なくありません。
凶を入れない神社、凶が多い神社
有名なところでは、菅原道真公を祀る東京の湯島天満宮のおみくじには、凶がありません。
湯島天満宮のおみくじには、道真公の誕生日と命日である25日にかけて、大吉・吉・中吉・小吉・末吉が5本ずつの割合で入れられています。
反対に、凶が多いことで有名なのは、同じく東京にある浅草寺。
浅草寺のおみくじは、江戸時代の元三大師御籤をほぼそのままの形で受け継いでおり、次の割合で吉と凶が入っています。
- 大吉 … 17%
- 吉 … 35%
- 小吉 … 4%
- 末吉 … 6&
- 末小吉 … 3%
- 凶 … 30%
凶が30%ということは、3~4人に1人は凶を引くということ。
凶を引いて当たり前くらいの確率ですし、これがおみくじ本来の割合であるというなら、凶を引いたとしても、そんなに落ち込まなくてもよさそうですね。
でも、やっぱり凶で終わらせるのは嫌だ!という場合…
おみくじを引き直してもいいのでしょうか?
凶が出たらおみくじを引き直してもいい?
おみくじは神さまからのメッセージですから、おみくじを引き直すということは、神さまの言葉を疑うのに等しいこと。
東洋占術の世界には「再筮(さいせい)すれば穢れる」という言葉もあり、結果が気に入らないからといって、占いをやり直すことはタブーとされています。
おみくじを引き直して不幸に遭った話としては、明智光秀の逸話も。
明智光秀が本能寺の変に出陣する際、おみくじを引いて1回目が凶で、2回目も凶でした。
3回目に吉が出たので出陣しましたが、織田信長への謀反が失敗に終わったのは、歴史が語るとおり。
自分の聞きたい答えが出るまでおみくじを引き直すということは、神さまからのせっかくのアドバイスを無視しているのと同じですから、それなら最初から引かないほうがいいのでは…と、思わされるお話です。
おみくじの引き直しは基本的にNGですが、もし、どうしてもおみくじを引き直したい場合は、神さまに「もう一度教えてください。どうすれば吉に転じますか」と、丁寧にお願いしてから引くようにしましょう。
おみくじで凶が出たとしても、必ずしも悪い結果ではないということはわかってきましたね。
でも、いくら神さまからのお言葉とは言え、凶が出て良い気分はしませんし、できればベストな対処をして、少しでも運気が良くなるようにしたいところ。
引いた後のおみくじは、持ち帰る派と結ぶ派がありますが、凶のおみくじの場合、どちらが正解なのでしょうか?
凶のおみくじは結ぶ、結ばない、どちらが正解?
おみくじは神さまからの手紙のようなものなので、結果が吉か凶かに関わらず、基本的には持ち帰り、自らの戒めや行動指針とするものです。
でも、境内に結ぶのも間違いではありません。
おみくじを結ぶ習慣は江戸時代に生まれたもので、悪い結果の場合、身代わりになってもらうという意味が込められています。
また、利き手と反対の手でおみくじを結ぶと修行になり、凶運を吉運に転じてくれるという説も。
凶のおみくじを持ち帰るか、結ぶかは、自分がピンと来るほうを選べばOK。
必ずこうしなければという決まりはありません。
おみくじの内容やその時の気分に応じて、好きな方法を取れば大丈夫です。
その他、珍しい対処法として、鎌倉の鶴岡八幡宮には凶が出た時専用の「凶運みくじ納め箱」が設置されています。
凶が出たら、この箱におみくじを納めて箱の上の矢をつかむと、凶運を「強運」に変えてくれるのだとか。
凶運みくじ納め箱があるのは鶴岡八幡宮だけですが、凶運=強運なんだと思えば、少しは気持ちも軽くなるかもしれませんね。
まとめ
それでは最後に、おみくじの凶の意味と対処法について復習します。
- おみくじは運試しではなく、相談事に対する神さまからのアドバイス
- 凶は悪い事が起こるという予言ではなく、こうすれば失敗を避けられるというアラート
- おみくじを引き直すのは、神さまの言葉を疑う行為であり、基本的にやってはいけない
- 凶のおみくじは持ち帰って行動指針としても、身代わりに結んでも、どちらでもOK
おみくじ本来の意味に従うと、吉や凶といった結果はあまり重要ではなく、神さまからのメッセージを未来に活かすことが重要なのだとわかりますね。
これを知っていれば、おみくじを引く時の気持ちも変わってくるのではないでしょうか。
ちなみに、易占いでは、大吉は最も忌むべき結果とされています。
理由は、今が最高の状態ということは、あとは運気が下がるだけだから。
逆に凶が出た場合、これから確実に運気が上がるので、喜ぶべき結果だと解釈するのだそうですよ。
おみくじで凶が出たとしても、ぜひ前向きに受け取って、大吉以上の成果を得られるといいですね。
参考文献)
神道としきたり事典(PHP研究所)
イチから知りたい!神道の本(西東社)
幸せを呼ぶ 全国神社・お寺ご利益完全ガイド(PHP研究所)
知れば知るほど面白い! 神道の本(西東社)
ご利益別・ピンポイント神社(マガジンハウス)
家族のきずなを深める四季の行事レシピ(双葉社)
なぜ?どうして? 身近なぎもん3年生(学研教育出版)
voice style 2 パワースポット神社(VOICE INC.)