49日の香典マナー完全版。包み方から渡し方まですべて解説!
四十九日の香典マナー
故人の霊が三途の川を渡る日とされる、四十九日。
この日を境に忌明けとなる、重要な法要です。
四十九日に出席する時、欠かせないのが香典。
金額や表書きなど、どんな点に気をつけなければいけないのか?
四十九日の香典に関するマナーをまとめました。
目次
四十九日の香典の金額相場
四十九日の香典金額は、5000円~1万円が相場です。
一般的に、香典のような不祝儀に包むお金は1、3、5、7の奇数のつく金額を包むのが良いとされています。
ただ、近年では4(死)と9(苦)のつく金額を避けさえすれば良いとする向きがあり、あまり神経質になることはありません。
旧三和銀行の調査(平成15年)によると、四十九日の香典金額の最多金額回答は次のとおり。
- 1位 … 1万円
- 2位 … 5000円
- 3位 … 2万円
やはり、奇数の中でもキリが良く、お札1枚で包める1万円、5000円が好まれる傾向があるようです。
通夜や告別式の香典は、故人との関係によっては5万円、10万円という高額を包むこともありますが、四十九日の香典は1万円ないしは5000円を包んでおけば、まず失礼になることはないでしょう。
金額がわかったら、次は紙幣を用意しますが、四十九日の香典には、新札と使用済みのお札、どちらを用意するのが正しいのでしょうか…?
香典に新札は使わないのが基本だけれど…
香典のような弔事のお金は、事前に用意して不幸を待っていた、という印象を避けるため、基本的に新札・ピン札は使いません。
しかし、近年は昔に比べると新札が簡単に入手できるようになったため、不幸を待つというニュアンスは薄れており、新札を使っても良いとするマナー本も増えています。
ただ、香典を贈る相手は年配の方が多いですし、弔事に新札は使ってはいけないと教わってきた世代のほうがまだまだ多いはずなので、新札は避けておいたほうが無難かもしれません。
新札・ピン札を使ってもかまいませんが、その場合はお札に縦に折り目を入れて、以前からのマナーに考慮します。
新札ではない普通のお札を包むといっても、あまりにヨレヨレのお札を包むのは故人への敬意を欠きます。
破れたり汚れのあるお札は避け、使用感の少ないものを選びましょう。
四十九日の香典袋の選び方
お祝いのお金を包む袋をご祝儀袋といいますが、香典などの弔辞に使う袋は不祝儀袋(ぶしゅうぎぶくろ)と呼びます。
不祝儀袋にもいくつかの種類がありますが、四十九日の香典に使用するのは黒白、銀黒、または銀一色の結び切りの水引が付いたもの。
水引の色が青白や黄白の不祝儀袋もありますが、これらは四十九日では使わず、一周忌が終わって以降の法要から使用するのがマナーです。
なお、結び切りとは、次の図のような結び方の水引のこと。
水引には蝶結びと結び切りがありますが、何度でも結び直せる蝶結びには「何回も繰り返し起きるように」、結び切りには「一度しか起きないように、二度と繰り返さないように」という意味が込められています。
四十九日のような葬儀関連の出来事に使用するのは、もちろん結び切りになりますね。
基本的に弔事に蝶結びの水引が使われることはありませんので、香典用の袋を買う時は、水引の種類はあまり気にせず、黒白のものを選べば大丈夫。
不祝儀袋には、水引がプリントされたものと、きちんと水引が付いているものがありますが、5000円までの金額ならプリントの袋、1万円以上なら水引付きの袋と使い分けるのが一般的です。
不祝儀袋が準備できたら、表書きや中包みを書いてお金を入れましょう。
書き方や包み方など、細かい決まりごとがいろいろとあるので、これから解説するマナーをひとつずつ確認しながら準備してくださいね。
香典の表書きの書き方
宗派や地域によっても多少の違いはありますが、一般に故人の供養のための法要では、次のように表書きを使い分けます。
- 四十九日より前 … 御霊前
- 初七日から四十九日までの間 … 御香典、御香料、御供物料
- 四十九日を終えた後 … 御仏前
最初に、四十九日は故人の霊が三途の川を渡る日であるとお伝えしましたが、覚えているでしょうか?
四十九日の供養前は、霊としてこの世に留まっているので御霊前、四十九日後はあの世へ渡って仏さまになるので、表書きが御仏前になるのですね。
※例外として、浄土真宗には「霊」という概念がないため、御霊前という言葉は使いません。
では、その間である四十九日の表書きは何かというと、「御香典」「御香料」「御供物料」。
ちなみに、これらの言葉は、昔は法要に使うお香は弔問客が持ち寄っていたことの名残で、お香やお供え物の代わりにお金を包みました、という意味があります。
使用する表書きを決めたら、薄墨の筆を使って、不祝儀袋の上側に表書きを、下側に自分の氏名を書きましょう。
香典の表書きは、夫婦で法要に参加する場合でも連名にはせず、世帯主の名前のみを書くのが普通です。
四十九日に限らず、不祝儀袋の表書きには薄墨を使いますが、これは悲しみの涙で墨も薄れるという意味から。
市販されている、弔事用に作られた薄墨の筆ペンを使用すると良いでしょう。
薄墨と濃墨の両方がセットされた慶弔両用の筆ペンもあるので、1本持っておくと便利ですよ。
表書きと合わせて書かなければいけないのが、お金を包んで入れる中包み。
次は、中包みの書き方と包み方のマナーを見ていきましょう。
香典の中包みの書き方とお札の入れ方
お金を入れる中包みは、表に金額、裏に自分の住所と氏名を書き入れます。
金額は中包みの表側、「金五千円」「金壱万円」「金弐万円」のように漢字を使って、真ん中より少し上の位置へ。
住所と氏名は中包みの裏に、左寄せで縦書きします。
香典のお札は、中包みの裏側に顔が来るようにし、封筒に対して金額が上、顔が下になるように包みます。
中包みの表側に顔が来るように包むのは、ご祝儀の包み方なので、四十九日の場合にはNG。
悲しみのあまり顔を表に上げられない、と覚えておきましょう。
中包みの準備ができたら、不祝儀袋に中包みを入れます。
裏側の紙の重ね方にもマナーがあるので注意してください。
不祝儀袋の包み方
不祝儀袋は、上側の紙が上に来るように包みます。
一方、結婚式などのご祝儀袋は、下側が上になるように包むのがマナー。
なんだかややこしい決まりですが、ご祝儀は上を向いてバンザイ、不祝儀は下を向いて深くおじぎをする、と覚えると忘れにくいですよ。
中包みを不祝儀袋に包んだら、これで香典の準備は完了!
…と、言いたいところですが、最後に香典を袱紗(ふくさ)に包む、という手順が待っています。
袱紗の包み方も慶事と弔事では違うので、ここで気を抜かず、包み方もしっかりチェックしてくださいね。
不祝儀の袱紗の包み方
四十九日の香典は袱紗に包んで持っていき、遺族の目の前で袱紗を開けて取り出すのがマナー。
袱紗は黒、紺、グレー、紫、緑などの落ち着いた色のものを使用し、次の手順で包みます。
赤や黄などの明るい色、柄物などの華やかな色柄の袱紗は祝い事に使うものなので、法事に持っていくのはNGです。
- 袱紗の爪が左側に来るように袱紗を開き、真ん中に香典を置く
- 袱紗の右側を香典にかぶせるようにたたむ
- 下→上の順にたたみ、上側の布が上にかぶるようにたたむ
- 左側の布を裏に回し、爪を留めて完成
香典袋の包み方が慶事と弔事で違うように、袱紗の包み方も、結婚式などの慶事と、四十九日などの弔事では異なります。
知らずにご祝儀の包み方をしてしまわないように気をつけましょう。
さて、香典ひとつ用意するにもたくさんのルールがありましたが、袱紗に包めば、これでようやく準備完了。
最後に香典の渡し方と、四十九日を欠席する場合のマナーを説明します。
四十九日の香典の渡し方
香典は、法要が始まる前に遺族の方に手渡しします。
袱紗から香典を取り出し、「本日はお招きいただき恐れ入ります。一緒に供養させていただきます。こちらは仏前にお供えください。」と挨拶をして渡しましょう。
一般的なマナーとして、法要の場では、「ありがとうございます」という言葉は避けるのが普通。
代わりに「恐れ入ります」「恐縮です」といった表現を使用します。
以上、四十九日の香典の包み方から渡し方までを説明してきました。
四十九日の法要に招かれた場合は出席するのがマナーですが、やむをえず欠席しなければならないこともあるかもしれません。
次は、そのような場合の香典の送り方について解説します。
四十九日に出席できない時の香典マナー
香典を郵送する時期
四十九日に出席できない場合、四十九日の当日より前に、現金書留で香典を郵送します。
現金書留の送り方については、下記の記事を参照してください。
現金書留の送り方。入学祝いやお年玉用の現金はどうやって送る?≫
現金を通常郵便で送ることは法律で禁止されているので、香典をポストに投函したりはしないでくださいね。
香典を郵送する際は、一緒にお悔やみ状を同封するのが大人のマナー。
お悔やみ状には、通常の手紙とは異なる決まりがあるので、初めて書く人は注意しましょう。
香典に添えるお悔やみ状の書き方
お悔やみ状には、次のようなマナーがあります。
- 薄墨もしくはブルーブラックのインクで書く
- 頭語や時候の挨拶は書かず、お悔やみの言葉から書き始める
- 書くのは遺族を気遣う言葉と欠席のお詫びのみ、自分の近況は書かない
- 「くれぐれも」「たびたび」「しばしば」「重ね重ね」などの忌み言葉(繰り返しを連想させる言葉)は使わない
- 頭語を使わないので、結語も省く
- 便箋1枚に収める(悲しみを重ねないという意味)
- 追伸は書かない(悲しみを繰り返さないという意味)
- 香典とは別に、一重の白い封筒に入れて同封する
弔事は重なることを嫌うため、繰り返しを連想させる言葉、2枚以上の便箋、追伸、2重になった封筒などはすべてNG。
また、お悔やみ状には時候の挨拶や頭語(前略など)、結語(敬具、かしこなど)も書く必要はありません。
お悔やみの言葉と欠席のお詫びのみを、簡潔に1枚の便箋にまとめましょう。
次に、お悔やみ状の例文をあげておきます。
四十九日を欠席する時のお悔やみ状の例文
○○様の在りし日のお姿を偲び、謹んでご冥福をお祈りいたします。
この度の四十九日、本来であればお伺いすべきところ、やむを得ない事情により出席がかなわない失礼をお許しください。
失礼ながら、心ばかりのご香料を同封させていただきましたので、御仏前にお供えくださいますようお願い申しあげます。
まずは略儀ながら、書中にてお悔やみ申しあげます。
四十九日の香典マナーまとめ
それでは最後に、四十九日の香典マナーの重要ポイントをおさらいしておきましょう。
- 四十九日の香典金額は5000円~1万円が相場
- 基本的に古いお札を包むが、あまりに汚れたものは使わない。新札を使う場合は縦に折り目を付ける
- 不祝儀袋の水引は結び切り、色は黒白もしくは銀一色
- 表書きは「御香典」「御香料」「御供物料」
- 不祝儀袋、中包み、袱紗の包み方は
細かいマナーが多くて大変ですが、言葉や包み方、使う道具のひとつひとつに、きちんと意味があるものです。
故人への敬意と感謝を込め、丁寧に準備したいですね。
参考文献)
21世紀版伝統のしきたりと最新のマナー冠婚葬祭実用大事典(主婦の友社)
最新冠婚葬祭実例大事典(成美堂出版)
大人の常識とマナー(学研教育出版)
冠婚葬祭贈答のお金マナー 表書き(主婦の友社)
おつきあい&マナー大事典(学研パブリッシング)
葬儀・法要あいさつ実例集(西東社)