ADHD治療薬コンサータって?ADHDに効く仕組みをわかりやすく解説
ADHDの治療薬「コンサータ」とは
注意欠陥・多動性障害、通称ADHDには治療薬があることを知っていますか?
ADHD発症の原因となる神経伝達物質に働きかけることで、ADHD特有の不注意・多動・衝動性を抑える薬です。
ADHD用の治療薬はいくつかありますが、代表的なものが「コンサータ」。以前は18歳未満の子どもにしか処方できませんでしたが、2013年から成人への処方が承認されました。
コンサータを服用すると、なぜADHDの症状が改善できるのか?
ADHD治療薬コンサータがADHDに効く仕組みを解説します。
目次
コンサータがADHDに効く仕組み
コンサータは、中央神経を刺激して脳内の神経伝達物質を増やすことで、ADHDの症状を軽減する薬です。
ADHDの原因は完全には解明されていませんが、大きな原因に脳内にある神経伝達物質の不足があるとされています。
ADHDの場合、集中力や学習を司るドーパミンやノルアドレナリンという神経伝達物質が不足しており、その結果、特有の注意力散漫や落ち着きのなさを引き起こすと考えられています。
コンサータは、この足りないドーパミンやノルアドレナリンの働きを補うことで、ADHDの症状を和らげる治療薬です。
でも、補うといっても、ドーパミンやノルアドレナリンが直接カプセルの中に詰まっているわけではありません。
脳内には、トランスポーターと呼ばれる、神経伝達物質を運ぶ物質が存在します。ADHDの場合、このトランスポーターが過剰に働いてしまうことが、ドーパミン・ノルアドレナリン不足の原因です。
神経伝達物質は使い捨てではなく、一度放出された後、また取り込まれて再利用される仕組みになっており、脳内に放出されたドーパミンを回収して元の場所へ戻す、お片付け役のような役割をしているのがトランスポーター。
つまり、トランスポーターが働けば働くほど、ドーパミンやノルアドレナリンが不足するということですね。
コンサータの効果は、神経細胞内にあるトランスポーターに結合してその働きを抑制し、ドーパミンやノルアドレナリンを増加させること。
脳の神経に直接作用することから、中枢神経刺激薬に分類されています。
同じADHD治療薬であるストラテラも神経伝達物質を増やす薬ですが、こちらは神経には作用しません。
そのため効果が出るのがゆっくりで、服用から2週間以上かかりますが、コンサータは脳に直接作用するため効果が出るのが早いという特徴があります。
参考)
コンサータ錠を服用される方へ(ヤンセンファーマ)
特別支援教育のプロが 通常学級の気になる子の 「困った」を解決します!(学研プラス)
発達障害の子どもの心がわかる本(主婦の友社)
コンサータを服用するとどうなるの?
コンサータは、ADHDの不注意・多動・衝動性すべてに効果があります。
コンサータを服用すると、ADHD特有の注意力の散漫さや衝動的な行動が抑えられ、仕事や勉強などの作業に落ち着いて集中できるようになります。
ただし、コンサータはADHDを根本的に治療できる薬ではありません。あくまでも対処療法であり、飲むのを止めればまた元に戻ります。
また、コンサータはADHDの人すべてに効果があるわけではなく、有効性は約70%であるとも。つまり、ADHDの人のうち約30%は、コンサータを飲んでも治療効果が得られないということです。
副作用もある薬なので、自己判断で飲む量を増量したり減量するのではなく、医師の指導のもと適切な量で服用することが大切です。
コンサータの安全性は?
コンサータ以前にADHD用の治療薬として処方されていた、リタリンという薬がありました。リタリンは依存性が強かったことから薬物乱用が問題視されたため、現在はADHDへの処方は打ち切られています。
コンサータの成分自体はリタリンと同じですが、薬の効果の持続時間がリタリン3時間であるのに対し、コンサータは12時間。
徐放剤という、ゆるやかに効果を発揮する加工がされており、薬の血中濃度が急激に上がらないので、リタリンよりも依存性は低いとされています。
コンサータの副作用
一般的なコンサータの副作用は食欲減退、不眠、口の乾き、頭痛、吐き気、チック、かゆみなど。子どもの場合は食欲減退により身体の成長に影響が出ることもあります。